この国の美学

今、映画館でジブリをやっていて、
こんな機会は珍しいので2作品ほど観てしまいました。
もう何十年も前の作品なのに、こうして今もなお
多くの人に愛されてるのは、きっと理由があります。
ディズニー映画のように、シリーズ化して効率よく
大量生産するのとは違って、
目を凝らしても見えないような一瞬を大切にしていたり、
緻密な描写で表現される物語を読み解くためのヒントが
無作為に散りばめられていたり、
歴史を尊重した時代背景を周到に設定していたり、
登場人物が持つ心像風景を多く語らずして伝えようとし、
その上で解釈や捉え方を観客に委ね、
個々に考えさせる余白を与えているところは、
まさに日本的美意識の象徴であるような気がした。
アニメとはいえ、子供だけにとどまらず、
むしろ大人になってからしか気付けない発見があって、
観る年齢によって感じ方が変わるのは、
ジブリ作品のすごさであり、深淵なテーマでもある。
この美意識を丁寧になぞるならば、
料理も作品のうちのひとつなので、
見えない仕事を施したり、多くを語らないところは
日本料理の美学そのものであるような気がした。
自分にとっても日本料理をしてるわけではないけど、
根っこにある思想として、料理のジャンル問わず、
ジブリ的な感性で仕事と向き合ってるいるから
こうして抽象的な部分を読み取ることができて、
まがいなりにも共感することができたのかもしれない。
大量生産に大量消費で目まぐるしい速さで
世界がぐるぐる回転してる21世紀。
だれかの記憶に残るような作品に憧れます。

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