プロローグと呼べるように

やるべきことが増えてくると、

どうしても負の言葉が頭を占領する。

無理とか、きついとか、時間が足りないとか。

もちろんメニューを考えたのは自分だから、

効率が悪く作業工程がどれだけ多かろうが、

責任は全部自分にある。

もちろんその境地を楽しめるのが一番いいけど、

詰まってくると、さすがに弱音を吐きそうにもなる。

お客様の期待も大きい、その分プレッシャーも大きい。

この時期は体力面のケアも大切だけど、

精神面のコントロールの方が重要だったりする。

いかなる仕事もメンタルやモチベーション次第で、

結果や成果も変わってくるはず。

料理なら仕上がりの味に大きく影響すると思うし、

いかなる姿勢で取り組んだか、何を考えているか、

不思議と伝わる人には伝わってしまう。

感情や想いは数値化ができないけど、作品に表れるもの。

どんな思考過程であろうと、仕上がりがすべてでもある。

一つ一つの料理も作品だし、お店そのものも作品であって、

そこには作者の日々の精神状態が宿っている。

決してメンタルは強くなく、むしろ弱い方なのだけど、

なんとか今まで継続してやってこれた経験は大きい。

これから不安定な時代に、まるで明るい未来は見えない

けれど、メンタルさえしっかりポジティブに保っておけば、

どんなことが起きても平気だと思えるのは、ここまで

自分でお店をして続けてこれたからこそだと思う。

お店が成功か失敗かはさておき、得ることのできた

経験や自信や信頼や手応えは、未来をよくするための

通過点に過ぎない。過去の集大成によって今があるし、

これからもその物語のエピソードは継ぎ足されていく。

今のお店は自分で何かを始めた出発点だから、

将来この時期がプロローグだったと呼べるように、

選んだ道を軌道修正しながら、

ポジティブに前に進んでいくしかない。

関連記事

  1. はじめはそんなもの

  2. これからの履歴書

  3. シンプルにかえる

  4. 変わっていく食事の在り方

  5. 優しさとは想像力

  6. 健康という概念、養生という考え方