料理なんてだれでもできる。
資格こそあるけれど、基本だれでもできる。
目玉焼きを作るのも、タンシチューを作るのも同じ料理。
ひと仕事感のあるところが、料理のいいところ。
世の中の多くの仕事は生産ラインの一部であることが
多いけど、料理は作るところから、相手の反応を
見るところまで、一人でもじゅうぶん完結する。
でも、だれでもできるものだから、この仕事を始めた頃は
ど素人で、ど未熟な自分の作った料理に、
お客様がお金を払って召し上がっていただけるなんて
末恐ろしくて、当たり前に自信がなかったから、
緊張の毎日だったのを思い出してみる。
自信の問題は大きい。
その差は伝わるし、きっと味も変わってくる。
食べることは日常的な作業なので、
食べる人も、作る人も日常的にたくさんいる。
その中で、対価が発生するものに、自信をのせて
価値が生まれ、仕事として成立していて、
お店で言えば、なにも料理だけに
お金が支払われてるのではなく、
サービスや空間やしつらえや体験にも価値はあって
そこを見落とされがちなような気がする。
だれでもできる料理だけど、全体を構成する
世界観を作ることはだれにでもできるものじゃない。