学生の頃は勉強がきらいだった。
偏差値の低い大学に入れたものの、中退してしまう始末。
勉強の重要性もいまいちわかってなかったし、
記憶力も悪かったし、理解できる喜びを見出せなかった。
二十歳から料理の世界で仕事を始めると、
拘束時間は長いし、身体が疲れてしまって、
仕事の時間でいっぱいいっぱいだった。
子供も早くに生まれたから、長らく仕事と家族に
自分の時間を捧げてきたつもりなので、
能動的な学びを得る機会がほぼ皆無だった。
やがて子供の手も離れてくると、時間の余裕ができてくる。
その時間は、何も知らない自分を気づかせてくれる。
今までいかに勉強をしてこなかったか。
知らないことばかりで恥ずかしくなる。
世の中のことをもっと知りたいと思えるようになった。
わかることも楽しいと思えるようになった。
いろんなことを知るようになってくると、
物事に対しての捉え方に選択肢が増えるから、
うまく対処できるようになり、世界も広がる。
怒りの感情も知識によってコントロールができると気づく。
記憶力が悪いので、すぐに忘れてしまうけど、
何事も知って損することはないと言える。
今までの勉強不足を後悔しても仕方ない。
世の中のことを知り尽くせる日はこないと思うので、
今からずっと勉強し続けるしかない。
学びに費やした時間は、
この先できっと役に立つことを信じて。