それぞれ街の個性や雰囲気を決めているのは、
多様多種なお店の存在だと言っても過言ではない。
お店の出店場所を決めるのは一大決心だ。
慣れ親しんだ街以外だと、人の流れや客層を読むのに、
リサーチしたりするけど、実際にやってみないと
わからない部分も大きい。
それに空き物件次第でもあるし、家賃との兼ね合いもある。
宝塚や逆瀬川について事前に情報収集もしてなかったけど、
今の場所に決めたのは、公園が目の前にあったから。
よく子供と遊びに来ていて、いい公園だと思った。
わりと都会の中なのに、ただ芝生が広がっていて、
シーズン中はいつも多くの人で賑わっていた。
この公園の近くにこんなお店があったらいいなと、
思ったのが始まりの動機。
キッチンゆえ、それまではずっと陽の当たらないところで、
仕事をしていたことが多かったので、太陽の光に憧れた。
そして毎日のように公園を眺めることができた。
贅沢なスクリーンで季節を感じ、天気を感じ、植物の色の
変化を眺めたり。それがもうできなくなるのは寂しい。
自分のお店は宝塚や逆瀬川にふさわしかっただろうか。
街の雰囲気の役に立てただろうか。
オープン前の工事中の時、大家さんに、
「ここだけ東京みたい」と言われたのが懐かしい。
違う場所ならもっとよくなってたかもしれないし、
どこに行ってもダメだったかもしれない。
場所選びが正解だったのか本当の答えはわからないけど、
ここに決めた運命を受け止めたい。