全集中の時

しんと冷える大晦日前日。

もう5回目となる御節は、まさに今から盛り付けていく。

がんばってる自慢をするタイプではないけど、

量が多くて寝ていたらとても間に合わない。

設備も場所も限られた中で、一度にたくさん作ると、

冷蔵庫に入るスペースがないので、常温での保存になる。

常温と言っても、この時期はほぼ冷蔵庫の温度に近いので、

問題はないけど、なんとなく心理的ハードルは高い。

なのでいつも暖房はつけずに、ドアを開けて

寒空の下、深夜に黙々と作業をすることになる。

明日で今までの最後という一区切りを迎え、

いろんな思い出も反芻しながら、感慨深い気持ちで

過ごしていると、次の未来が楽しみでわくわくしてる時と、

これで良かったのかと反省する時が交互にやってくる。

でも、もう迷ってる場合でないほどに、

時間は迫っていて、いよいよ最後の日を迎える。

とにかく目の前のお料理に集中する。

とにかく目の前のお客様に集中する。

喜んでいただけることを想像する。

そんな単純作業の繰り返しが、たくさんの大きな応援を

いただけたことも肌で感じることができた四年半。

今ある時間を一秒も無駄にせず、

自分が想う気持ちを全力で捧げよう。

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