達成感のうらがわ

学校や仕事に行くのが億劫な時、その場所に着いてしまったらあんがい平気だったりする。
今まで悩んでいたことが嘘のように思える。
達成感も同じで、そこに到達するまでの過程にはプレッシャーがあり、締め切りがあり、苦しみさえもたらす。

大きな仕事を前にすると特に心が張りつめる。
お客様の期待に応えないといけない、仕上がりを間に合わせないといけない、体調を崩してはいけない。
昔は過度にそれらのプレッシャーを受け取りすぎていて、自分に自信もなかったけど、月日をかさね回数をこなす度にようやく強くなれたような気がする。
緊張をゼロにすることはできないし、何も感じずに淡々と仕事をするのもなんとなく変だ。
自分なりのバランスが見つかってきたということか。
できないことをしっかりと受け入れ、できる範囲での最大限を発揮する。
それでも渦中はやっぱり苦しいものは苦しい。
どれだけ成長していようが、経験によって課題も大きくなっていくから。

大きな仕事を終えた時の達成感は何ものにも代えがたい。
これは苦しみのプロセスがあるからこそ感じられる高揚に違いない。
仕事を適当にこなしていては得られない感情だ。
人はだれしも苦しんだり達成したりを繰り返しながら前に進んでいく。
短いスパンの時も長いスパンの時も、バランスをとりながら折衷点を見つけて。

料理を作ることはその成果が売上となって返ってくるし、お客様の反応もダイレクトにあるから、その道筋は短く見えやすい。
でも書くという作業はどうだろう、成果はなかなか見えづらい。
達成感はどこにあるのだろう、果てしない自己投資の先に待ってると信じるしかない。

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