覚えている人

こんな仕事をしているのでお客様のことはけっこう覚えている。
サービス業におけるひとつの能力としてたぶん習慣化されている。
ざっと300人の顔と名前は一致する。
今までにご来店されたお客様はもっといるので、少ないかもしれないけどさすがに全員は覚えられない。
覚えれる人とそうでない人の違いはなんだろう。
単純に来店頻度に比例するものでないのは明らか。
何回会っていてもなかなか覚えれない人もいるし、ほんの数回ですぐ覚えれる時もある。
見た目の特徴、交わした会話、自分との共通点、ちょっとしたハプニング、きっかけはいたるところに散らばっていて一概にこれとは言えない。
昔デリバリーをしていた頃に周ったお客様の名前やお家を、不思議なもので鮮明に覚えていたりする。

今は買いもの履歴から導き出されるレコメンド機能がパーソナライズされているので、便利になっている反面、潜在的な欲求も刺激してくる。
それがいいか悪かは別として、飲食業界ももっとお客様のデータを活用すれば欲求をくすぐることができるのではないかと思う。
まったくプログラムで動いてる訳ではないけど、当店はネット予約にしているので前回の購入履歴はわかるようになっている。
くすぐることはできないけど、注文が入った時の声のかけかたはお客様によって違いは出せる。
ネットをうまく使えば完全に覚えているわけではないけど、お客様のことを認識しているというメッセージを発することはできるのではないか。
でも飲食業界の人は単純に忙しすぎるという問題もあるし、技術に疎いという問題もある。
どれだけ”ひと対ひと”と言えども、ネット社会の波には抗えないのでうまく融合していけたらいいなという希望を持っている。
電話番号を覚えなくてもよくなったように、きっとお客様のことも覚えなくてよくなるだろう。

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