ひととおり世界全体で食べるものにはそう困らない時代に、なにか事業をする際にはただ利益を追求するといった目的よりも、環境に配慮してるだとか社会にとっていいことを理念として掲げることが時代のトレンドとなっていることが肌で感じられる。
社会にとっていいこと、生物にとっていいこと、地球にとっていいこと。
いいこと、という表現も曖昧ではあるけれど、そこを目指すためにはある程度の教養や道徳や倫理観を持ち合わせてないと理解がむずかしいようにも思う。
世界を俯瞰してみること、長期視点で物事を考えること。
皮肉なことに今ある環境が平和で治安がよくて余裕があるからこそ、そのようなことが言えることもたしかで、戦争や紛争がある地域で暮らす人たちは悠長に考え事ができない現実を頭の片隅に置いておかないといけない。
芸術や文化を享受できるのは豊かさの恩恵を受けている証拠だ。
いろんな仕事いろんな職種がある中で、社会にとっていい活動とはなんだろう。
そもそも社会とは、実態のないものではあるけど、みんなが理想とする世界の在り方と言っていいのかもしれない。
組織に属していると分業制なので、社会の役に立っていることが認識しづらいけれど、少なからず会社によっては貢献している、もしくはどの会社もいいことをしていると思っているはず。
誰かが犠牲になっていないか、嘘をついていないか、そんな基準で考えると、どこもブラックな側面を抱えながら経営しているところが多いような気もする。
飲食業は社会にとっていいことなのか。
これもひとえに食文化の継承に携わってるとはいえ、美味しさを追求する行為はある意味で娯楽の範囲でもある。
だからと言ってすべての食事が完全栄養食でも絶対に楽しくはない。
オーガニックで無農薬、顔の見える生産者の食材を使うことが、社会にとっていいことだと言えそうだけど、その線引きも曖昧な気がする。
自分のお店が社会の役に立っている実感はあまりない。
時代は確実に社会にとっていいことをしようという流れになっている。
SDGs、エシカル、など聞こえのいい言葉だけを使うのではなく、もっと既存の体制をひっくり返すような転換が必要であり、そのようなアクションのできる人や会社が次の時代の牽引者となっていく。
共感と納得でしかなかった内容を、どう身近な行動に落とし込めばいいのだろう。