料理で食べていくむずかしさについて

ここで言う“食べていく”は、生活の収支を成立させること。

よく飲食店は開店してもすぐに潰れると言われているように、難易度の高い商売スタイルだと思う。

誰でも簡単に始められるから参入のハードルも低い。

そしてお店の数が多くなって競争が激しくなる。

初期投資を回収するには数年もかかる上、一般的に稼働時間と売上が比例しているので、(手仕事であればなおさら)動いてる時間以上には売上も見込めない。

多大な借金だけを残して閉店するケースが多い。

廃業率は3年以内が70%、10年以上続くお店は10%にも満たない。

料理の道に進めばおのずと将来は自分のお店を持ちたいと思うもの。

組織に勤める職業料理人もいるけれど、表現者の素質がある料理人は独立せずにはいられない。

自分のアイデアを、技術を、経験を、料理という作品に昇華させる。

とはいえ、お店を始める理由や方法論は人それぞれだけど、続けるむずかしさの根本の原因は“経営”能力にあるように思う。

料理ばかりしていたら経営の勉強をする機会もあまりない。

頭で数字をどれだけ理解していても、実践の場では不確定要素が多すぎて思うようにいかない。

業態や業種は違えど、どんなビジネスも経営とは密接に関わっている。

どれだけ人気であろうが、きちんとキャッシュフローを回せてなかったらお店は続けられない。

商売と縁遠い人にはわからないかもしれないけど、“人気”と“利益の高さ”は比例しているとは限らない。

経営を上手にしようと思ったら少なからず人間的な感情を抑えないといけない場面があるのも経験としてわかる。

お客様に喜んでほしいからと過剰なサービスをしていては自己犠牲となり消耗してしまうばかり。

ただでさえ利益率の低い業界なので気前のよさは後々首を絞めることになってしまう。

ある意味シビアに、時に冷酷に、お店を経営として捉えるメンタルがないと継続はむずかしい。

経営についての不勉強さが料理で食べていくことをむずかしくさせていると思う。

経営と料理の両立を一人でしようと思ったらあまりにも時間がなさすぎるのだ。

それに経営のむずかしさ以上に、そもそも飲食業界の構造の問題が目の前に立ちはだかっている。

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