見た目で味が決まる

スマホのおかげで写真技術が民主化して誰でも気軽にいいい感じの写真が撮れるようになった。

少々下手くそでも加工すればある程度いい感じに補正もしてくれる。

料理の見た目において過剰なほどカラフルで美味しそうな写真が特にSNSで目立つようになった。

見た目の印象は馬鹿にできない。

脳の反応を見ても彩り豊な方が食欲を想起させる。

美味しそう、ってだけで人はきっと美味しいに違いないと食べる前から認識してしまう。

作る側もそうわかっているから盛り付けの見た目を意識する。

企業に限っては、より戦略的に、より売れるために科学的に検証しているだろう。

スーパーなら陳列の順番も色合いで考えられているし、食材には当たり前のように着色料が使われていたりする。

それほど見た目が与える影響はとても大きい。

今は逆に行き過ぎて、見た目と味が乖離していることも多くなった気がする。

これ見よがしな映え狙いの盛り付けは心が動かない。

それでもいまだに過剰な映えに需要はありそうだ。

そもそもバターや明太子も着色されているし、色の効果は避けて通れない。

夏野菜のように色の濃いものの方が美味しさを演出してくれる。

料理を作っていてる身としても全体の色合いは気にする。

赤はトマト、オレンジは人参、緑なら青菜やリーフ系、不思議と紫が少し入るだけで全体が引き締まる。

特に野菜は品種改良でカラフルなものも多くなった。

オレンジや紫の白菜、赤いオクラ、黄色の人参や黒い大根。

そこまで基本の味はそんなに変わらないのに、色だけついてしまってどこまでも人間中心の社会だなあと滑稽に思う。

それに加担しているわけだから偉そうに言える立場ではないけれど。

とにかく見た目も味覚に影響しているというはなし。

そして人間の五感は、基準値があるのではなく社会背景や時代によって変わっていく、ことに驚いた。

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