恋愛は誰にとっても身近にあるものなのに、(基本的には)誰もその方法を教えてくれない。
親は教えてくれないし、学校でも教えてくれない。
なのに、せっせとみんな恋愛をして、ロマンスな映画やドラマに陶酔して、ラブソングに自分を重ね合わせ、芸能人の色恋を話題にして、幸せになろうと憧れを抱く。
世に溢れているコンテンツのほとんどが男女関係の物語を描いている。
いい恋愛をすれば幸せになれるのかという問いはさておき、恋愛はたくさんの人にとっての共通目標になっている。
恋愛は大昔の哲学者も語っているくらい人間にとって普遍的なテーマ。
異性は互いの埋め合わせであるとか、男女は永遠にわかり合えないとか、愛は与えられるものだとか、どれも違っているようで、どれも納得してしまう説得力があった。
それくらい恋愛は不思議なもので、正攻法がなくて、たくさん経験をしていてもわからないことがあって奥が深い。
そして幸せになれる反面、大きなトラブルも多い。
恋愛を教えるのがむずかしいのは、どれだけ理論で説明されても実践でやるのとではぜんぜん違うからだと思う。
ふいに落ちる恋愛もあれば、嫌いから好きに変わる恋愛もあれば、奪ってまで欲しい恋愛もあれば、築いてきた社会的信用を棒に振ってまで成就したい恋愛もあれば、と理性的な判断を鈍らしてまで手に入れたくなるときがある。
それほどまでに本能に根ざしたものでもあるけれど、満たされなさや寂しさ、社会背景や時代の価値観から生まれる恋愛もあるだろう。
運命という意味づけをするとより美しく感じることができる。
思い通りにいかず予定不調和な人間の感情を扱うからこそ恋愛はむずかしい。
子供とは違ってすでに出来上がっている価値観を理解するのもむずかしい。
もしかしたら起業して成功する方が簡単かもしれない。
でも恋愛はむずかしいからこそおもしろいのだと思う。
だからこそ同じ気持ちを共有できたときの喜びは、なにものにも変えがたい幸せなのだと思う。