昔、あるお客さんの言っていたことが頭に残っている。
その人は定年退職をしていて、おそらく独身で、いい車に乗っていて、身なりはそう派手でもないおじさん。
そのおじさんは言った。
仕事も遊びもひと通りやってもう他にやることがなくて退屈、だと。
そしておじさんはどこか寂しそうな表情をしていた。
たまに高齢者は日々何を人生の楽しみにしているんだろうと思う。
仕事もやりきって、お金もじゅうぶんにある余生とは幸せなのだろうか。
偏見かもしれないけれど、年齢と人間の成熟度は比例しない。
街中でもいい歳をして公共の場で横柄な態度をしている人がいる。
威張っているというか、周りへの配慮はなく、自分が世界の中心といった感じ。
そういう人を見ると、ああはなりたくないなあと思う。
みんなお金を欲しがるけれど、お金があっても幸せとは限らないことはなんとなくわかる。
おじさんの例のように、お金はたくさんあるにも関わらず人生を楽しめてないように見えたのは、そのことを示している。
きっと家族や友人の人間関係が充実していたり、趣味に没頭していたり、生きがいや目的を見つけていたら、おじさんはきっと楽しいに違いない。
どこまでも推測でしかないけれど、人間の幸福は良質な人間関係や信頼関係がもたらすとデータ上でも明らかになっている。
さらに他者貢献や教養を深めるといったことも幸福につながる。
人間にとって大切なことをお金が盲目にしているような気がするのは自分だけだろうか。
なんでみんなそんなにお金を欲しがるんだろう。
どうせお金を使うなら私腹を肥やすことより、他者貢献や教養を深めることに使いたい。