仕方がないというあきらめ

小さな本屋がアマゾンに駆逐されているように、個人商店が大型ショッピングモールに駆逐されているように、個人経営の飲食店も大手チェーン店の増殖で少なくなっていくのだろうか。

 

いつの時代も「めんどくさい」VS「便利」は、便利が勝利している。

馬車VS自動車、ほうきVS掃除機、手紙VSメール。

新しい技術はだいたい人々のめんどくささを解決しようという動機で生まれる。

時間が短縮できる、労力が減らせる、価格が安くなる。

だれだって気持ちが傾くに違いない。

人間が楽をしたい気持ちはもはや普遍的だと思う。

 

時代の流れはだれも抗えないほどに強い。

スマホも当たり前になった。

インターネットも当たり前になった。

たくさんの人がその恩恵を享受している。

時代の流れは、ある意味でお金の流れでもあるので、波にうまく乗ればお金を稼ぐことはそう難しいことではない。

トレンドは集団心理であり暗黙の総意でもある。

 

小さな本屋に行って欲しい本がないとき、さすがに店員に取り寄せをお願いすることをしない。

わざわざ金物屋に行って物干し竿を買おうとは思わない。

個人飲食店は特にコロナ禍を経て、制限が厳しくなったように思う。

時間や人数や予約など、少しの手間がめんどくささを生み、行きずらさを覚えさせる。

いつでも開いていて、店員との距離もほどよく、清潔感のある店内で、そこそこ美味しければチェーン店に行きたくなる気持ちもすごくわかる。

便利だし楽だし安かったりもするから。

 

ということは、視座を上げてみれば飲食店も本屋と同じような末路になりかねない。

ずっと業界を見てきて、これはもう時代の流れだから仕方がないのかなとも思う。

悲しいことだし、残念なことだけど、生き抜くためには受け入れることも必要で、変化に適応することが欠かせない。

仕方がないも、あきらめも同じような意味合いだけど、仕方がないよりもあきらめの方には自分の意思が入っている。

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