なぜ美味しい料理が作れても、お店を継続できないのか

たとえ人気店と言われていても、その実態はどこまでもわからない。

どこまでも当事者にしかわからないことがある。

往々にして一般の人のイメージとはギャップがあるように思う。

どちらかというと飲食店に限っては周りから過大評価されている傾向にあるような気がする。

完売や満席という言葉は、人気店だと想起してしまうし、むしろその時点で諦めが混じりお客さまが遠ざかってしまうこともあるだろう。

 

実際に商売が繁盛しているというのは、かなり忙しい状態であり、小さな個人店の場合において一から手作りとなると、物理的な時間に制限がかかってしまう。

それでもこだわりがあって手作りだからこそ、店主個人の魅力が最大限に発揮できる良さがあるので、その部分を大切にしつつも人気になって経営基盤をしっかり安定させるのが理想的なお店作りだと思う。

しかし、飲食店はどこまでも水商売というだけのことがあって、売上が変動的で安定とは程遠い職種であることは否めない。

コロナしかり、人件費や材料費の高騰、日々の気候の変化など、外的要因に大きく左右されてしまう。

先の読めない未来に対応するべく、あれこれ悩み、模索しているお店の努力に心からリスペクトしたい。

 

よく美味しい料理を作る人にお店を始めたらいいなんて気軽にアドバイスをする人がいるけれど、美味しい料理が作れることとお店を継続していくことはまったくと言っていいほど相関がない。

もちろん料理が美味しいのは最低の条件だけど、料理が美味しくなくても人気で繁盛しているお店はたくさんある。

長く飲食業界、はたまた社会の産業構造を見てきてわかったことは、作品のクオリティ以上に立地や見せ方やコピーなどマーケティングの秀逸さがビジネスの成否を分けている。

商売はキャッシュがすべて。

たとえ料理が美味しくて、人気でいつも忙しくしていても、その内情が杜撰であれば経営は継続できない。

だからといって大衆に迎合するようなお店ばかりでもきっとおもしろくない。

だって個性あふれる小さなお店がその街の魅力を作っているから。

見えづらいけれど食文化は暮らしの心地よさにもつながっている。

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