場所が変わっても自分の料理を楽しみにお客さまがわざわざ足を運んでくださる。
これは当たり前のようで当たり前ではないこと。
お店の在り方はひとつではないという主張に理解を示し、スケジュールを確認して予定を空けてくれるということは、行きたいところがたくさんある中で優先してくれているからこそ。
その期待に応えることができたのだろうか。
どんな時も、長くやっていても、食事を提供するプレッシャーは常に付きまとっている。
期待を下回ったらもう次はないという意識を忘れたことがない。
ヒリヒリと、チクチクと、大事な日が迫るほどに緊張する。
お客さまにとったら、たかが一回の食事だけど、その先も記憶に残るような料理が作れたなら少しは報われる。
出張料理的なことを始めたけれど、継続的にやっていくのは不安でしかない。
始めたばかりはお客さまが集まるもの。
それにサービス業は集客がすべてなので、苦手なアピール力が必要とされる。
情報を定着させるための発信と、魅力的なメニュー作りはやっぱりエネルギーをたくさん使う。
たまたま日が合わなかったり、交通面が不便だったり、タイミングや運の要素も大きい。
それでも活動をしている雰囲気を出すことはとても大事なことなので、企画を考え収支を合わせながら実際に行動していくことはこの先も欠かせない。
あらためてお客さまが応援してくれることに感謝をした。
定期的にやってほしい、近くでもやってほしい、美味しかった、と声をいただけた。
美味しい食事は幸せになれる。
それが大切な人と一緒だったらこの上ない。
いちばん身近な幸せは料理が担っているのかもしれない。