一般的に年齢の若さは重宝される。
体力があって、見た目にも張りがあって、エネルギーがあって、未来への可能性がある。
芸能でもスポーツでもアートでもビジネスでも、いわゆる有名になれる人は若い頃からすでに才能を開花させているから、いま目が出ていないんだったらどれだけ努力しても手遅れ、と言ってもいいほど若さは人生において重要な時期だと思う。
感度も高く、吸収力も高く、失敗してもやり直しがきく。
多少の無謀さ、損得勘定ではない行動力が新しい未来を切り開いていくのだろう。
歳を重ねるほど、経験が邪魔をしてリスクを回避するような安定思考に向かっていく。
女性は特に美において敏感なので、シワやシミなど外見を気にする気持ちはわかるけれど、そのことに関して思い悩みすぎるのは行き過ぎな気がする。
身体の劣化は避けられないし、誤魔化したところで隠しきれないので、もっとありのままの自分を受け入れてもいいのではないかと。
よく男性は歳をとるほど味が出ると言うけれど、男性だって加齢における身体の劣化には悩んでいる。
外見はたしかに見た目でわかる変化だけにどうしても注意が向いてしまうけれど、その分の中身の変化にも価値は潜んでいる。
歳を重ねるほど、人はいろんな経験が増え、知識を蓄え、人間としての奥行きを増していく。
トレードオフではないかもしれけれど、歳を重ねれば重ねるほど人としての魅力は高まっていくのではないだろうか。
過去にとって無駄だったことが現在意味を持って線でつながっていくような感覚、わからなかったことが知識の積み重ねによってわかっていく感覚、選択肢が広がり自分で自分の人生を自由に選べること、他者への配慮や理解、数々の失敗によって得られた学び、それらのことを歳を重ねるほど豊かな記憶として実感している。
そのように内側を満たすことで外見にもいいシワが刻まれるのではないだろうか。
人間は時間にしかつくれない芸術作品だ。