編集という役割

クリエティブな仕事はある意味で媒介者だと思う。

媒介者とは何か原資となるものを編集して違う形にして表現するというニュアンス。

デザイナーなら頭の中をイメージを目に見える形する作業だし、音楽家なら音を組み合わせてメロディーにする作業だし、料理で言えば食材をいかに活かしてお客様に届けるかがミッションになっている。

自分というフィルターを通して表現物として相手に届ける。

つまり媒介者とは、原資を集めて編むと書くように編集者だと言える。

そこには目利きが必要だし、実績や経験値も必要だし、マーケットを見る目や適切なタイミングも必要だし、広く言えば“センス”が問われている。

意外と目立たず地味なポジションだけど、おもしろいもの、人の心を動かすものを作ることにおいて、いいものを発見して加工して届ける編集という役割はとても重要だと思う。

 

編集という視点で世の中を俯瞰してみると、多くのコンテンツが原資、編集、お客様、の3つのバランスで成り立っていることに気づく。

一般的に難解なことでも、おもしろおかしく平易な言葉でわかりやすく伝えれば、人は興味を持つきっかけになるし、相手の人生を変えることだってある。

コンテンツ過多な時代にどうしてもビジネス的な思惑が混ざることは否めないけど、純粋に自分がいいと思うものをもっと多くの人に知ってほしいから届けたい、と思う気持ちはホモサピエンスならでは動機で美しいと思う。

救いたい、助けたい、共有したい、という熱意が人に影響を与え文明をアップデートさせていく。

 

純粋な編集は表現者ともイコールだ。

目の前の素晴らしい食材をどう調理するか。

最大限の美味しさを引き出すために何をして何をしないのか。

本来ならそれだけに集中できればいいけど、提供の仕方やタイミング、スケジュール調整や雑務まで、表現者がやらないといけないことは多岐にわたる。

こういうことを考えたとき、つくづく感じるのはやっぱり総じて物事を見るセンスが大事だなあと思う。

と同時にセンスはけっこう生まれ持った才能でもあるので、後から磨くにしても限界を感じることも時々あったりする。

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