スモールオーガニック

オーガニックとはなにか。

もう耳馴染みになったオーガニックという言葉。

自然体で、環境にやさしくて、健康によくて、なんかいいことをしている気分にもなれる感じ。

だからといって必ずしもいいもの美味しいものとは限らなくて、その目利きは大切だし生産者や販売者との関係性も大事だと思う。

そんなオーガニックを詳しく説明しようとするとどこから話していいか分かりにくい言葉でもある。

オーガニックは有機と訳されるけど、有機とは生命力を有すること、生活機能を有すること。

つまり生命が活動している限り、それぞれの機能が循環し続けている様を表している。

純粋な自然だと死や朽ちる意味も含まれてしまうので、オーガニックの本質とは若干ニュアンスが違ってくる。

生命活動を維持し続けるために、その環境を保ち続けるために、人が生態系のバランスを考慮して手を加える、ということにおいてオーガニックの考え方や思想が詰まっている。

例えば、オーガニック野菜が美味しいのは、その考えの結果にすぎなくて、どのような考え方で取り組んでいるか、のプロセスこそに本来の意味が宿っている。

そのためにも、いいものとは何か、美味しいとは何か、を知ってないといけないし、もっと言えば、何をもってバランスがいいとするのか、生態系への理解、生命へのリスペクト、人間力も深くないといけない。

オーガニックの認知を広げるためには上澄みだけの言葉も大事だけれど、行動や思考を伴わずにそらんじるだけではその本質に辿り着けない。

 

生態系を地球規模で考えると、大きすぎて何から手をつけていいかわからない。

宇宙に太陽という中心があるように、最小単位の細胞にも核があり、植物の形、社会の縮図など、世界の構造を眺めればどれもフラクタルに収まっているとするならば、オーガニックは小さい範囲でもじゅうぶんに成立する。

有機的につながり循環していくためには、いくつかの要素が円環(まるくつながっている形)になっているイメージだけれど、そんなにたいそうなことではなくて、物事の始まりは二つなのだから、まずはすぐ隣にいる誰か、もしくは同じ考えを持った人が一人でもいればそれは自然につながって連鎖していくのではないだろうか。

春を迎え、そんな気づきに至った。

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