発見のよろこび

知らないことを知ったとき、わからないことがわかったとき、頭の中でモヤモヤしていたことがうまく言葉の実を結んだとき、それが真実かどうかはさておき、自分なりに納得できてストンと腑に落ちたときの快感は気持ちがいい。

むずかしいことをわかりやすく要約したりまとめたりしたコンテンツは溢れているけど、不思議と記憶に定着しないし、あまり気持ちがいいという感覚ではない。

何かと効率が求められる社会に、物事を深く観察して見つかる発見には時間性が欠かせないように思う。

しっかり根を張った木々が倒れにくいように、長い時間をかけることでその強度が増す。

そのためにも自分なりに気になっていることへの問題意識を持って世界を眺めてないといけない。

情報過多な時代に自分にとって本当に必要な情報を取捨選択すること。

小さな発見の積み重ねがその人の価値観や生き方を方向付ける。

何も考えていなかったらタイムラインの情報に流されてアルゴリズムにハックされてしまう。

メディアが儲かるために作った作為的な幸福論や人生論に染まってしまう。

何が大切で何が大切でないか。

何にときめいて何に違和感を覚えるのか。

その判断の連続が個人のアイデンティティを形成していく。

そしてその集合知が社会の空気を形成していく。

 

現状よりよくなりたい。

きっと誰しもがそう思っている。

成長や向上心は人間の生きる原動力でもあるわけで、今この世界があるのは人類の叡智の賜物であることは間違いない。

わからないことをわかりたいと思う気持ち、発見という知的好奇心がその下支えになっている。

例に漏れず自分も発見のよろこびがこの上ない。

世の中はどこまでも知らないことだらけ、わからないことだらけ。

当然死ぬまでに世界を知り尽くすことはできない。

ただ気をつけないといけないのは、このネット社会において無駄で意味のない情報が溢れ過ぎていること。

気を抜くといつの間にか無駄な情報に誘導されてしまうのもまたインスタントな快楽に弱い人間の特性だろう。

現代社会はそもそも備わっている人間の知的好奇心より、インスタントな快楽の方が上回っていることに危機を感じてしまう今日この頃。

的確な選択とゆっくりと焦らずに物事を理解して発見していくこと。

遠回りかもしれないけれど深く長く根を下ろした方が人間の軸はブレないだろう。

往々にして自然の摂理は逆説的だ。

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