よく自分の好きや得意を仕事にしよう、と言う。
もちろん言いたいことはわかる、でもそう簡単にはいかない、むしろとてもむずかしいように思う。
たとえば自分の好きなことが誰にも需要がなかった場合。
たとえば自分の得意なことで誰も喜んでくれない場合。
結局、仕事というのは与える人と受け取る人がいてこそ成立していて、そこには市場という原理が支配している。
インターネットで市場が世界中に広がったとはいえ、自分からアピールしないと基本誰も振り向いてくれない。
それに大半の人は大半の人が好きなことを好きなので生半可な好きでは目立てない。
自分の好きや得意を仕事にできている人はきっとごくごく一部だろう。
自分の好きはさておき、相手や時代が求めることに応える、
それが独立してる人であろうと会社員であろうと仕事として一番成立しやすい。
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仕事を市場という視点で見た場合、やっぱり抗えないのは時代の流れ。
本を読む人が減っているように、街の本屋が潰れていくように、出版業界が斜陽産業と言われているように、これから本を読む人が増えるとは到底思えない。
世界から本がなくなることはないけれど、本を求める人が少なくなれば、本を書いたり作ったりする人の仕事も少なくなると予想ができる。
よっぽど意味を変えるなり、新しい付加価値がつけれるならまた違ってくるだろうけれど。
ぼくは本が好きだけど、仕事になるならそうしたいけど、生活をしていく上でいろいろ不具合なのでその業界には飛び込めない。
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料理を生業としてきて本業である飲食業界も市場で見た場合、コロナ以降の行動様式の変化や、昨今の物価高で先行きはあまり明るくない。
やっぱり大手チェーン店が強いし、個人店でもうまく魅せれる人が強いし、集客や宣伝が上手な人が強い。
当然、世界から食がなくなることはないけれど、利便性の高い食事が多くなっていけば料理を仕事にする人は減っていくと予想される。
それ以上に、飲食は他の職業に比べて労働時間が長く大変だし、働き方が改善されればされるほど料理は効率化に限界がある。
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つらつらととても悲観的だけど、自分の好きや得意が市場に求められてない場合はもう不運でしかないのではないか。
それでも何とかして活路を見出す。
そんな人生もひりひりとしておもしろいのだけど。


