お客様は一人も来なかった

小鳥のさえずり。

新緑の山々。

満開の桜。

徐々に暖かくなっていく雰囲気、春の訪れは新しいスタートの予感。

お店を始めるということは真摯な態度と覚悟が必要だ。

その場所、その時刻に、必ずそこにいる信頼を提供している。

どれだけ天候が悪かろうと基本的に営業をしないといけない。

どれだけ宣伝をしようが、実際にはお客様を“待つ”ことしかできない。

ドキドキしながら扉を開けた。

4月の初日お客様は一人も来なかった。

春めいた気候にほんのり暖かい日差しと心地よい風。

鳥たちが餌を食む様子をぼんやり眺めることのできるじゅうぶんな時間。

準備してきたものと、営業してるだけでかかる光熱費と、意気込んだ気持ちの行方をどこに締まっていいのかわからない。

こんな日もあるのが飲食店経営のむずかしいところ。

水の流れのように不安定な商売は、売上というより気持ちを安定させることが大事になってくる。

いちいち一喜一憂してはいられない。

いつなんどきも同じ品質と同じ精神でサービスを提供する、それがプロフェショナルというものだ。

辛い体験を超えて強くなる。

ではどうすればいいかを試行錯誤する。

それが楽しいと思えるからお店はおもしろい。

そう言い聞かせてまた明日を迎える。

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