おいしいパスタはスープが決手

緊張の一瞬。

たっぷりの沸いたお湯にパスタを広げて入れる。

その前にパスタソースは必ず仕上げておく。

パスタの茹で上がりとお会計がかぶらないかどうか、また新規のお客様が来ないかどうかも気にしながら約7分後の未来予測をして。

パスタとワンオペの相性はとても悪い。

麺類は茹で上がってしまうと刻一刻と麺の状態が変わっていく。

アルデンテという概念、麺の硬さも味のうち。

パスタ作りは数秒を争う戦いだ。

パスタで独特なのは、よくアルデンテの大事さや茹でるときに入れる塩を語られるけれど、やっぱり乳化を含むスープ作りが重要なんじゃないかと思う。

パスタソースみたいな表現をされることも多いが、ソースというよりスープのイメージを大切にしている。

ニンニクで香りを移したオイルなり、使う具材から出てくるだしを、たっぷりの茹で汁で乳化させてスープにする。

スープの味を濃くするためにも具材はできれば多い方がいい。

具材の旨みをたっぷり含んだスープが茹で上がるパスタを待っている状態に準備しておく。

まるで教科書のように茹で上がりのパスタはザルにあげると言うけれど、一回きりのパスタを作るくらいならザルにあげず茹で鍋から麺をトングで数回に分けて掬う方がいい。

茹で上がりのパスタは繊細なので水分を切りすぎずに水分を纏った状態でそっとパスタソースの中に移してあげる。

いかにパスタとソースを一体化させるか。

たっぷりのスープを準備していても仕上げる過程でパスタはどんどん水分を吸っていくので、ザルにあげていないくても後から茹で汁を足していくほど。

提供前の味見とお客様の一口目にもタイムラグがあるし、食べ終わりまでの水分量を見越して考えるとやっぱりはじめのスープは多いくらいの方がいい。

それにしてもパスタに限らず麺類は出来上がった瞬間が一番おいしい。

だからゆっくりと過ごしてほしいけれどパスタは早めに食べてほしい。

おいしいを作る裏側にはいろんな試行錯誤が含まれている。

関連記事

  1. 見えないものを想像する

  2. 純粋という尊さ

  3. いかにシンプルに提供するか

  4. 美味しさの先にあるもの

  5. 自由と制約

  6. 書けないとき