おでんをたくさん作りながら考える。
よくよく考えてみると普通の煮物なのに、みんなが名前を
知っていて寒い時に食べるものという認識になっていると
ころに文化の偉大さを感じさせる。
おでんは日本の定番料理と言っても過言ではない。
定番料理というのは狙って作るはむずかしい。
美味しいと思う感覚は人によってそれぞれなのに、ひとつ
の形に収斂していくのはなぜだろう。
同じように他の定番料理、例えばうどん、お好み焼き、た
こ焼き、なども専門店として成り立っている。
どれも誰かの意図したところで作られたものではなさそう。
長い年月を経てアップデートを繰り返しながら自然と残っ
てきた料理ということは、意識はしてないけど価値がある、
必要とされてる料理と言える。
地理的な環境も大きく左右するけど、こんな料理があった
ら便利だろう、安い材料でお腹が満たせる、とかいろんな
動機が重なって生まれた今なお残っている定番料理の数々
にはあらためて感心してしまう。
もしかしたら今も進化の途中かもしれない。
それは文化づくりとも深く関わっていると思うけど、人の
意思で流れが決まるのではなく、自然淘汰的に形成されて
いる点がとても興味深い。
多くの人が美味しいと思える普遍性を探ってみるのもおも
しろそう。
それにしても、お店のイメージとは違うおでんをやっても
注文していただけるお客様がいることに感謝です。