いい塩梅

雨と梅の季節です。
やっぱり食材が教えてくれる季節感って
日本的で風情があってなんかいい。
塩梅。ちょうどいいとか、加減がいいという意味で
由来は字の通り、食酢がなかった時に
梅を塩で漬けて梅酢を作るところからきています。

料理を始めた頃はとにかく、
本に書いてる通りのレシピを真似して作ります。
でも塩の分量が適量だったりすることが多くて、
その時は、重要なものだとは思っていなかったけど、
実際にお店の現場で、お客様がお金を払って
自分が作ったものを食べるという意識を持つように
なってはじめて塩の量の大切さを痛感しました。
むしろお店の味はすべて塩で決まってるんじゃないかと
思えるくらいに。
それから今に至るまで、塩の分量や、ふるタイミングに
細心の注意を払います。
いくらテクノロジーの進化で料理が民主化したとはいえ、
やっぱりそのニュアンスはテキストや動画のレシピでは、
表現しきれない部分で、五感や経験が必要になってくる
領域のような気がします。
加減というのは、定量化できないもので、
気温によっても変わってくるし、
自分の体調によっても変わってくるし、
もっと言えば、
お客様の育った環境や食べてきたもので変わってくる。
なので、どれだけこちらが最善を尽くしても
全員を唸らせる味を作るのはむずかしくて、
要は作り手と食べ手のマッチングというか
味覚も相性の問題かもしれません。

料理だけにかかわらず、
過密な都会、過剰なサービス、過保護で過干渉な親、
足りな過ぎず、度が過ぎず、
いろんなことが、いい塩梅になってほしいものです。

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