得意と好きは違うと思っている。
得意、はそれができるということ。
好き、は夢中になれるといったところでしょうか。
料理を仕事にしてきたので、料理を作ることはできる。
料理を始めた頃から、食べることがとびっきり、
好きというわけではなかった。
いわゆる食べ歩きなんてほとんどしてないし、
休みの日なんて料理を作りたくなかった。
これはよく聞く話で、普段作ってるからしたくないとか、
家のキッチンが狭いからという理由ではなくて、
単純に料理を作ることが好きではなかったからだ。
料理を生業としてお客様にこんな発言をするのは、
失礼極まりないかもしれない。
でも料理を作るのは得意だと自負している。
昔から周りにセンスがいい、美味しいとよく言われた。
この道に進むことも、周りの反対を押し切って選んだ。
今でもこれでよかったのかと自問自答はするけれど。
必ずしも好きを仕事にするのが正解とは限らない。
好きを仕事にしたら、好きでなくなる可能性もある。
好きなことは好きなままで、
いい距離感を保っておくというのも一理ある。
何が大事かというと、
得意な料理を通して、相手に喜んでもらうという行為が、
好きだったんだと思う。
相手を思って、美味しく作りたいと創意工夫をする。
相手にどうしたら喜んでもらえるかを考える。
料理は手段にすぎず、目的は感動を与えることにある。
どんな仕事も本質的には、お客様に喜んでもらうこと。
たまたま得意なことが料理だったってこと。
だって料理が美味しいは、一番身近な幸せですから。