3月19日。
もう少し準備に時間をかけたかったけど、
はじまりの日にこだわりがあったので、
晴天の中なんとか無事に再スタートができた。
これからの飲食はイートインの価値が高まっていくと思う。
コロナの影響でオンラインやテイクアウトの需要が
多くなったとはいえ、やっぱり人間の感情が求めるものは、
その時、その場でしか感じ取れない感覚で、無意識的に
そこに心地よさを覚えるのではないでしょうか。
ただお腹を満たすとか、ただ情報を得るということは、
理屈では通じるけど、心の機微を動かすためには
空気感や温度、瞬間に生まれる息づかいが欠かせない。
情報で溢れてしまった現代社会だからこそ、
情報自体はいつでも手に入るのであって、
体験価値はその場所に行かないと手に入らないという
不便さを伴って定量化できない価値がそこにある。
料理そのものもまさにそうで、食べたらなくなるもの。
料理といっても様々で、旅先であったり、
記念日であったり、非日常な食事の体験は言わずもがな
記憶に残りやすく思い出として語られるけど、
もっとその体験価値は日常にもあると思っているし、
その価値の発見を見出せないものかと目論んでいる。
どんな考えをしてる誰の料理を、どんな時に誰と食べるか、
環境を少し整え、視点を変えることができたならば、
もっと日常的な食体験にも、
新しい価値が生み出せると信じている。
お店と人というのは、当たり前のことだけど、
そこにいるものだし、そこに行けば会える存在だから、
ある意味それを選べるのはとても贅沢なこと。
そんな小さな当たり前になったしまった贅沢を
再確認し、光をあてていく作業の積み重ねが、
きっと食べる価値の見直しにもなるでしょう。
お店という場所で、お客様との対話を通じながら、
自ら手を動かしながら、その価値について考えていきたい。