ミニマリズムへの問い

数年前からよく耳にするミニマリズムやミニマリスト。
調べれば最小限主義と定義されているけど、この言葉になんとなく違和感を覚える。
すっからかんの部屋にぽつんと佇む風景はさみしさすら漂う。
ものや情報を最小限まで削ぎ落とせば、たしかに当たり前に受けていた恩恵に気づけるので、いい行いであるのは理解できる。
その美意識は今に始まったことでなはく、日本の茶室文化もその系譜で語ることができるだろう。
ぼくもよくミニマリストと言われるほどシンプルで、ものは少なくお店のしつらえにも反映されているので気持ちはよくわかるけど、胸をはってミニマリストだとは公言することに躊躇してしまう。
なぜなら大事なことは、ものの少なさが最優先ではないと思うから。

ミニマリズムのもっと深く語るべきことは、自分にとって何が大切かを自分自身でわかっているかどうか。
自分がどんな価値観を大事にしているか、自分にとって価値のあるものがなんなのかを見極めていること。
それは判断基準を洋服や車や家や肩書など周りからの評価で選ぶのではなく、自分のモノサシで選べているかどうか。
結果的にものが少ないのであって、たとえものが多くてもそれが自分にとって大切なものなら、それもミニマリストだと言えるのではなかろうか。
その文脈で考えるなら最小限主義という言葉は当てはまらないような気がする。
言葉は便利な反面、意味の枠をつくってしまうから扱いはむずかしい。
ミニマリズムは主義ではなく、もっと抽象的でグラデーションのある思想や考え方だと思うのだ。
そもそもイズムが主義という意味なので、反論の余地がなかったことに今気づく。
だったら名称はミニマラーとかでいいのかも。

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