お店とは別にグルメサイトと掲げた「REATABLE」という場所を作っている。
なぜそんなことをしているのかを改めて言葉にしてみたいと思った。
作業内容としては、ただひたすら取材をして記事を書いていくというもの。
食やお客様と真摯に向き合っている飲食店オーナーの人生を要約して文章にしている。
すでにネットには情報がたくさんあふれている。
雑誌の特集なども結局は一時的なものばかり。
どれもこれも表面的で、そこに深い洞察や愛情が感じられない。
そんな現状に違和感を覚え、世の中に疑問を投げかけているのがサイトの活動を通した問いだ。
ましてやネットの中にはまた聞きの情報も多く信憑性に欠ける。
実際に人とあって直接話を聞く。
一次情報にこそ価値があるし、現場にこそ真実があるのではないのか。
あくまでもその人の人生は当事者本人にしかわからない。
厳密に言えば、文章は話を聞いた書き手の解釈があたえられているから。
もっと厳密に言えば、当事者本人が自分自身のことをわかっていないことも十分にありうる。
それくらい人間の感情はあいまいなもので言葉にする危険性を孕んでいる。
言葉にすることは線をひき、枠をつくる行為。
それでもギリギリのところまで相手を心の底から理解しようと試みている。
だからとても時間がかかって仕方ない。
そもそもプロではないので書くことに慣れていないのもある。
書くプロではないけど、立場のプロであると自信を持って言えるのは、同じお店をしているものとして気持ちがわかるから。
まだまだ未熟ではあるけれど、他者の人生を扱っているので慎重に言葉を選んでいる。
書こうと思っても書けない時、うまくまとまらない時、もう一度やり直す時、そんなことばかり。
お店をしながらやっているからという言い訳はぜったいにしたくない。
むしろお店をしていないとできないとすら思えてきた。
さいわい取材原稿を店主さんに確認する時、よろこんでもらえることが多い。
整理された、振り返れた、ありがとう、そんな言葉たちが何よりもうれしい。
まだ一人にしか読んでもらえてないのに、やってよかったと思える瞬間。
(つづく)