こい願わくは②

ことの発端は、自分自身の経験からだと思っている。
取材を通して話を聞いたどんな店主さんも、過去の経験をきっかけに今の選択をしている。
思い込みかもしれない、因果を結ぶのはよくないかもしれない、だけど関係はゼロではない。
お店を自分で始めてから会社員として働いていた時とまったく世界の見え方が違った。
独立をしてお店を持つことは料理を志す人の一つの目標でもある。
好きなことを形にしているとはいえ、今まで見えていなかったやるべき業務は多く、楽しさと大変さは隣り合わせに存在している。
お客様の期待に応えるプレッシャーも、未来の見えなさも、心をコントロールするのは自分次第。
廃業率は高く、利益率は低い飲食業界、やってみないとわからないことがあるもの。
関わる周りの小さなお店の人たちはその大変さと忙しさの中でみんながんばっている。
もっと報われてもいいはずなのに、と思うのはぼくだけなのかなあ。

考えてみるとそもそもなんで大変なんだろう。
根本的に業界の構造上の問題が大きい。
これは一人の力では到底変えられない。
料理を作って販売するのは、手仕事をしているお店ならどこまでいっても属人性が高く稼働時間に限界がある。
飲食店は誰でも簡単の始められる分、参入者が多く市場も飽和状態なので、高い価値は生まれにくい。
飲食に限らず、人に依存しているサービス業全般に当てはまるだろう。
どうしたら他に価値を見出せるのか、新しい意味を足せないだろうかと模索する。
相手への敬意に付加価値をつけた成功事例が海外のチップシステムかもしれない。
チップは長い歴史と深く関わっているので文化をつくることはとてもむずかしい。
でも新しい意味を足すことはできると思う。
捉え方を変える、解釈をし直す、といったニュアンスで。
よく出される事例だと、ローソクは明るさを提供するという本来の目的で使われることが少ない。
雰囲気だったりクラフト体験だったり、別の意味を足したことで今も残っている。
そんな風にして飲食店に新しい意味を足せるとしたらなんだろう。
それを見つけることが自分の中で大きな課題だった。

(ぜんぜんまとまらない。。明日につづく)

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