ある街という個性

料理学校で一緒だった同級生がやっているお店へ数年ぶりに訪れた。

もうかれこれ17年もやっているという。

大阪で勉強して故郷で飲食店を開業した、いわゆるUターンの典型的な例だ。

そのある街は決して田舎というわけではないが、ガラが悪く、民度が低く、どこか寄りつきがたいイメージ。(ちょっと大げさだけど)

個人的な偏見なのはもちろんわかっているので、実際の街の名前を伏せている。

故郷に対する愛着がまったくない自分にとって、地元を愛する気持ちを持っている同級生が羨ましくもあり素晴らしいことだと思う。

何より17年もお店を続けていることが、常連様に愛されている証拠だし、その継続力にはただただ尊敬するばかり。

それだけ長く続けていれば将来の不安もなく自由気ままにやっているのかと思いきや、ところがどっこい話を聞いてみれば悩みはあちこちから出てくる出てくる。

(人生はどんな環境になっても悩みが尽きない苦しいもの)

将来のお金の不安、世間体が商売に影響すること、最近のアルバイトに対するマナー的なリテラシーの低さ、これからどう生きていくか。

たった一人にしか話を聞いていないけど、それらの悩みや抱える問題の数々はその街全体の個性でもあるような気がした。

なぜそう思ったのかの原因を探ってみる。

話を聞く限りでは、テレビというメディアから主に情報を得ていること、いいことも悪いことも知り合いの「噂」が一番の情報であること、昭和的な文化がまだ残っていること(ストレス発散の場としての酒場、*同伴)、スマホネイティブなZ世代との意識のギャップ。

同伴出勤 – キャバクラのキャバ嬢、ホストなどが仕事の一環として客とお店に出勤する前に、外でお客さんと待ち合わせをして、どこかの飲食店で食事などをした後に一緒にお店へ出勤すること。

Wikipedia

狭く閉じられたコミュニティは、居心地のよさや団結力があって文化形成に大きく貢献するものの、変化に対する怖さや情報の偏り、どうしても排他的にならざるを得ない側面があったりする。

物事の良し悪しは常に隣り合わせ。

最近バズっている地方移住の話題とも重なった。

https://news.yahoo.co.jp/articles/595b5969dcabb1830a67ab3d0d6741f37d15d607

時代の価値観は今以上に早いスピードで変わり続けていくことは間違いない。

解決策として、思い込みや慣習は人間の防衛本能であるけれど、そこから意識的に抜け出し外の世界と触れて、柔軟に流動的に適応していくことがこれから求められていく能力だと思う。

同級生にそうアドバイスできるほどの時間はなかったし、そのエネルギーも持ち合わせていなかったので聞くだけで精一杯だった。

それに長い時間をかけて作られてきた思い込みの鎧は、そう簡単に他者には脱がせないなと思った。

自ら気づくこと、時間がかかること、そのきっかけがあったとしても時に苦しみを伴うこと。

そもそも今は人の心配をしている場合ではない。

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