ただぼんやりと

何も考えずにいることって意外とむずかしい。
散歩中に無心を努めていても、知らないうちに何かを考えている。
そういう時は、目の前に見えるものをただ言葉にしていくといいと聞いたので、やってみたけどすぐに途絶えてしまった。
空、青、木、緑、アスファルト、といったように。
新しい言葉がたくさん生まれ、学問も細かく分類されるようになって、わかりやすさはどんどん加速していく。
本来ただそこにあるだけのものに細かく名前をつけていく。
人間はどこまでも新しいフロンティアを求めたがる欲深い生きもの。

細かい部分によりすぎると周りが見えなくなる危険性があると思う。
高速道路を運転していたら周りの景色は見えないように。
具体的によりすぎると考えに偏りが生まれてしまいがち。
そこに対立構造が発生して争いが起こることも。
将棋でいう大局観のように、離れて全体を見る視点も時には持ち合わせておきたい。
具体と抽象を行き来するバランス。
わけるのではなくグラデーションとして捉えること。
時代は早さやわかりやすさを好むけど、思考プロセスや文脈を汲んでこそわかる物事もあって、ただ消費してしまうだけは何となく悲しい気持ちになってしまう。
せっかく時間をかけて作ったもの、歴史を踏まえてこそ味わえる奥深さ、そこには人の感情が存分に入っているはずだから。
わかりやすい言葉に当てはめてわかった気になるのではなく、ただぼんやりとわからないことをわからないままにしておくことも、情緒があってもいいのではないかと思った。

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