社会との接続

定年退職なんてまるで想像がつかない。

でも料理の仕事は身体が資本だからいつまで持つのか

たまに不安になる時があるけど、そんな先のことを

考えたことはあまりなかった。

仕事を退職した男性のお客様がランチに訪れる。

近くのシニアカレッジの帰りにいつも寄ってくれる。

話を聞いてみると趣味は特になく、

”やりがい”や”生きがい”を探しているように見受けられ、

いろいろとやってはみてるものの、納得のいく答えが

まだ見つかっていないようだ。

生きている目的や目標があることが正解ではないけど、

やっぱり何かしらあった方が暮らしは充実するんだろうな

とは思う。

事実、その差で平均寿命が7年ほど違うそう。

最近は”FIRE”なんて言葉が流行っていて、資産形成を整え

早期リタイアする人が増えているみたい。

でもお金だけたくさんあって、社会に必要とされずに、

何もすることがないは、なんとなく寂しいような気もする。

歳をとるたびにいずれはゆっくりしたいなとは思うけど、

先のお客様を見ているとそれはそれで大変そうに見える。

生きる目的なんてそう簡単に見つかるものではないけど、

探すことを諦めてはいけないと思う。

その過程すらにも意味を見出せるなら、

少しはましかもしれない。

これから高齢化社会の最先端をいく日本のおいて、

どんな景色が広がることになるんだろう。

みんな長生きするみたいだし、若い世代が作る未来の

負担にだけはなりたくないなとすでに今から思う。

まだそんなに年寄りではないけど。

いつまでも社会とは接続できているようにだけはしたい。

 

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