センスがいい、を言葉で表現しようと思うと感覚的で曖昧でむずかしい。
料理のセンス、ファッションのセンス、デザインや文章など、いろんな分野でセンスという言葉が使われている。
いずれにおいても何を選ぶか、何と何を組み合わせるか、場の最適や素材の相性を知っておくことは論理的に重要だと思う。
それとは別で、直感や感覚もまたセンスのよさにつながっている。
なんとなく、雰囲気で。これがいいと思えること。
言葉で論理的に説明はできなくても脳内で高速に処理しているのかもしれないけれど。
センスがいい人に共通していることは、どれだけ自分のことをよく知っているか、だと個人的に思っている。
センスはいっけん時代性でありトレンド的でもあるので、その真似をすればセンスのいい人だと呼ばれることもできる。
身にまとう持ちもの、外から見てわかるものは、ある意味で誰でも真似ができてしまう。
しかしセンスの本質はもっと内面的に介在している、ものの見方や考え方に依拠していると思える。
内省をして自己理解を深め、自分の軸を持っていること。
自分に合った選択、相手に合った選択、社会に合った選択、それらをバランスよくアウトプットできる人。
センスがものをいう職種は、決まって仕事を継続していく中でいろんなことに触れる機会があるので、より自走的に磨かれていく。
本書の内容では、センスはリズムだと説いている。
意味や意図から離れて、映画や絵画、料理に至るまでを全体のリズムで感じること。
強弱や緩急をリズムとして捉え、心地のよさがセンスに結びつく。
確かに心地のいいリズムは人間が本能的に理解しているので普遍的なセンスだと呼べそうだ。
料理をリズムで捉えるならば、食感、盛り付け、味の変化、だろうか。
どちらかというと料理は感覚的に作っている部分があるので、あまり細かくリズムを考えたことはなかった。
相手に何かを伝えるためになんでも言語化することが重要視されている時代なので、意味や意図から離れて自然体でいいことに背中を押してもらえた。
それがセンスの良さにつながっているならなおのこと。