ちょうど5年前に今のお店を始めた。
右も左も分からないまま、自分の力を試したい、
自分が正しいのだと意気揚々と立ち上がった。
毎日が同じ繰り返しの中、思考錯誤を重ね、
歩んできた道のりの先に辿り着いたのは、
5年前に想像もしていなかった場所。
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はじめのうちは、自分の作った料理を喜んでくれる
お客様がいることで十分に充実感があった。
だけど、次第に抱くようになった違和感は、
どれだけがんばっても生産量に限界があり、
小さな声はどこまでいっても届く限界があること、
飲食業界の根本的な構造の問題。
周りを見渡しても、小さいお店をしている人たちは、
楽しみながらも少し疲れているように感じた。
与えられた環境にいる限りは、その中で
やりくりするしかない諦めのような境地というか。
おそらく感じてる想いは同じようなものだと思った。
一生懸命ものづくりに向き合ってる人は、
得てして伝えることが不器用だったりすることが多い。
皮肉にもそれがものづくりに真剣な姿勢だったりする。
ならば自分がその伝える役を買って出よう。
そのことが他の人より少しだけ得意な気がした。
でもそのやり方がわからない。
沸々と考えてはいたけど、ずっとわからなかった。
だから考える時間を作るために完全予約制にした。
同じタイミングで世界を揺るがすパンデミックが起こる。
テイクアウトの需要が高まり、考える時間が取れない。
また同じサイクルに巻き込まれかねないと、
宣伝を控えてひっそりしていると、
ようやく可能性がありそうな形が見え始めた。
試してみたいと思えるようになってきたので、
お店をしていてはできないと辞める決断をした。
未来はなかなか予想通りにはいかないもの。
お客様の声で違う形にせよ、お店を続けることにする。
結果的に良かったし、お店があることで得られる
メリットをあらためて再確認できた。
今後また考え方が変わるかもしれないけど。
違和感を抱き始めてから何年経ったのだろう。
ずっと準備してきた、ものづくりに携わってる人の
想いを伝える方法はグルメサイトという場所に帰結する。
うまくいくかどうかはわからない。
いまだに迷ってるし、これからもきっと迷っている。
完成すらしていない、これから先も完成しない。
でも可能性があるからやってみる。
それが自分にとっての存在意義だから。