残るものを作りたい

今まで料理を作る仕事を生業としてきた。

料理は食べたらなくなる。

その繰り返しの中で感性を養い、技術を磨いていく。

自分でお店を始めたことで、お客様からの信頼も

積み重なり安心を提供できるようになった。

でも、どこまでいっても飲食店の経営は

自転車操業だし、水商売なビジネスモデルになっている。

専門的な用語ではフロービジネスと呼ばれる。

そして体力が何よりの資本であるし、

培った技術はそう簡単に替えのきかないものでもある。

 

これから先のことを考えると、日本経済は厳しくなるし、

少子高齢化社会は間違いなくやってくる。

自分の体もひとつしかないし、年齢的なことを考えると

何かひとつの事しかできないのはリスクが大きい。

そんな矢先に世界的なパンデミックがやってきた。

いろんな業界が誰のせいにもできない状況になって、

飲食業界の脆弱な部分も晒されるはめになった。

中には料理に人生を捧げている人もいるし、

自分はそこまでではないけど、

少なくとも数十年を料理の世界に携わってきた。

今まで何をしてきたんだろうと虚しくなった人は

きっと数え切れないほどいるだろう。

たまたま、このままだと危険だと感じていたから、

次の活動に軸足を移せていただけの話。

その活動で純粋な気持ちを持ってお客様を

喜ばせたいと思ってる人たちの応援をしたいという

自分の気持ちとも運よくリンクしている。

当事者として経験してきたことが、

フロービジネスの中で唯一残った財産かもしれない。

 

ネット上でのコンテンツ制作は、

フロービジネスの反対でストックビジネスと呼ばれる。

費やした時間が資産になっていく。

食べものと違って腐ることがない。

飲食業界にもストックビジネスを取り入れる。

きっとできるはず。

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