共感のジレンマ

お店というのは不思議なもので、自分の波長に合った人が

お客様として自然と集まってくる。

それはSNSでの発信だけでも投稿者の雰囲気はなんとなく

伝わってくる。

頭で考えている以上に、人は物事を感覚で判断している。

なので、ある程度、共通言語の備わったお客様が多いので、

共感できる部分が多いから話は早い。

どのような価値観を持っているか、何を大事にしているか、

食に対する考え方、飲食店の選び方まで。

その気持ちわかります、と頷くことが頻繁にある。

趣味や嗜好の合う人と話す時、急に距離が縮まるように、

人は他者と共感できた時、心地よくなれる。

その話題がニッチであればあるほど距離はぐんと近くなる。

インターネットがない時代は情報が遮断されていたので、

共感できる人の少ない人は居心地が悪かったけど、

今は世界中がつながったことで自分に共感できる人が

見つけやすくなったのは、インターネットの一番の大きな

恩恵だと思う。

しかし飲食店においては、遠くの方に共感できる人が

見つかっても、食べるという行為は実際にお店へ足を

運ばないことには体験ができないのがつらいところ。

物理的な距離がネックになってくるのだ。

どれだけ自分のお気に入りのお店が見つかっても、

遠かったり、何かのついでがないとなかなか行けない。

ネットショップなどオンラインで商品を購入できる機会も

増えたけれど、料理はどこまでいってもオフラインの体験

価値の方にまだまだ軍配が上がるのではないだろうか。

共感できることは心地がいいけど、もっと実益に結びつく

ような何かがあればいいなと、もどかしい気持ちでいる。

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