暖かい陽気の中、田舎道に車を走らせる。
窓から入ってくる風が気持ちいい。
わざわざ遠くまで足を運び、お昼ごはんを食べに行く。
目的は食事をすることただひとつ。
都会や駅近にあるお店だとあれもこれもと、
ついで探しに周辺を回遊することが多くなるので、
目的がなんとなく分散される。
いつでも行ける距離の方がたいがい気持ちの距離は遠い。
わざわざ行く距離の方が訪ねる頻度は多いかも。
田舎にあるお店の方が意外と予約で埋まっていたり、
周りには何もないのにお店は人で賑わっていたりする。
お店側もわざわざのご来店は感謝の気持ちで溢れる。
もちろん点でしか見てないからわからないけど、
その傾向は大いにあると思う。
どうしてそのような現象になるのか。
旅行の要素と非日常感があるからではないかと推測する。
お客様はせっかくわざわざ行くのだから、
前もって予定を立てるし、前もって席の予約もする。
道中は変わる景色が気分を高め、
自然の壮大さが心を癒し、日常を忘れさせてくれる。
辿り着けば美味しいごはんが待っていて、
せっかく来たのだから満足したいという心理的作用が
よりごはんを美味しくさせる。
今日のごはんは本当に美味しかったけれど。
これらの要素を考慮して田舎で始めるお店というのは、
細く長く続けるには適した方法ではあるなと思う。
生活コストは安く、住居と併用すれば家賃も助かる。
夫婦でお店をして小さな子供を育てるパターンは多い。
ランチ営業だけのお店がほとんどで、そこでしっかり
集客していれば、夜は家族でゆっくり過ごせる。
ブランディングと世界観さえ作り込めばけっこう強い。
都会で下地を整えて信頼と評判を作ってから、
田舎に移転するケースも多く見受けられる。
儲けを求めたり贅沢さえしなければ、
自由な時間と豊かな暮らしは手に入る。
あまりに田舎すぎない田舎でお店をするのは案外、
飲食店経営のひとつの正攻法かもしれない。
でもはじめはすごい勇気がいるだろうなあ。