何かを始める時、まずビジョンを決めるのはとても大切なこと。
コンセプトやパーパスという言葉も同じく似たようなもの。
描く創造を言葉に落とし込む作業は、簡単なように見えてむずかしい。
なぜそれをやるのか、何がしたいのかをほんの数文字で表現しないといけない。
飲食店の場合、そんな意識でビジョンを決める人は少ないように思う。
よくある、癒しを、くつろぎを、幸せに、などはどこか抽象的でお客様へは届きづらいように思ってしまう。
商品を手にすることで、お客様の生活がどのように変わるかまで設計されていないといけないし、そのビジョンが心に響くようなわかりやすい言葉で提示されていないといけない。
ビジョンが明確で芯を捉えていることでお客様はもちろん、スタッフの行動指針にもなり動きやすくなる。
給料やブランドに集まる仲間より、ビジョンに集まる仲間の方がぜったいにいい。
そんなビジョンを決めるのはリーダーの役割。
時代は物を買う楽しみである物質的な価値から、うれしい体験や感動することなどの感情的な価値に向かっている。
商品の機能やスペックよりも、充実した時間を送れるかどうか。
そして次は、昨今に見られる環境への取り組みや、生産者の顔が見える買いもの、SDGs、トレーサビリティ、エシカルなどの横文字の言葉が表している社会的価値へ人類の意識は向いている。
同じ値段でも、いや少し高くても知ってる人から買いたいという気持ち。
その人に託したお金なら社会をよくするために使ってくれるという安心と信頼。
そこには応援や参加というニュアンスも含まれている。
でもビジョンを掲げてどれだけ発信をしても、買い手側の意識も変わっていかないといけなくて、両輪がうまく回らないと前にも進めない。
その意味においてもまずはたくさんの人の共感を呼ぶようなビジョンを考え抜いて決めることが大切だと教えてくれた本だった。