人が見えるデメリット

人が見えることの大切さを謳ったメディアを作っておいて、そのデメリットを挙げるのは逆説的だけど物事にはいい側面も悪い側面もあるのが世のことわりなので、そんな視点を持つのも時には必要なことだと思う。

個人がやっているような飲食店は、店主だけでなく人との距離感がとても近いのが特徴だ。

その世界観を生み出した人と距離が近いというのはこの上ない機会で、簡単にお金と商品の交換だけで終わらない関係性がそこにはある。

心を通わすだとか、愛があるとか、人の温かみだとか、どうしても綺麗事に聞こえてしまうけど、人間は結局えもいわれぬ人間らしさに幸福を求め充足感を得るのではいう仮説のもと活動している。

一方で、意思を持った人間である以上、相性の問題も付きまとう。

苦手意識、生理的なこと、育ちや文化の違い、身分の差、残念なことにどうしても相容れない関係性は存在する。

どれだけ料理が美味しいと評判でも、もし店主さんやスタッフが苦手な人だったら足を運ぼうとは思わない。

たとえ行きたいお店があったとして、まだ行っていないならば、相性の問題が往々にして潜んでいると思う。

時間がないや、休みが合わないとか、都合がつかない、は言い訳にしているだけのことが多い。

ほんとにそうしたいと願っているならばすぐにそうしている。

これはお店だけに限らず、買い物にしても旅行にしても、何かのために行動する理由はタイミング以上に相性の問題もあると思う。

言葉ではうまく説明できないけれど人は自然と感性で対象との距離をはかっている。

人の見えない方が心地よいという社会に向かっているのもどこか避けられない。

チェーン店や大資本のお店、コンビニなんかは、人との関係性は薄く気楽な側面がある。

ましてや機械化が進んでいて人のいないお店がこれからもっと増えていくのかもしれない。

人が見えるというのは時に面倒臭い。

苦手そうな人だと行きたい会いたいと思えない。

そういう時おそらくお店の人も同じことを思っている。

いや、人よりも料理が美味しけりゃいい。

今までの話のことをまったく考えたことのない人がいることもちゃんとわかっている。

関連記事

  1. 全体で考える

  2. 出張料理レポート

  3. コミュニケーションコストを考える

  4. 騒がしすぎるこの世界で

  5. 歳月のたより

  6. 声の温度