底辺職業にはいつも飲食業界がランキングに入っている。
底辺という言葉を使いそれをカテゴリー分けしてしまうのも問題だけど、テレビのような大きなメディアで取り上げてしまう品のなさが今の社会の有り様を表していると思う。
たとえそれが良くないことだとわかっていたとしても注目を集めて議論させて認知を上げて利益を得る、みたいな悪循環は枚挙にいとまがない。
底辺職業とは主にこういったもの。
土木・建設作業員、警備スタッフ、工場作業員、倉庫作業員、コンビニ店員、清掃スタッフ、トラック運転手、ゴミ収集スタッフ、飲食店スタッフ、介護士、保育士、コールセンタースタッフ。
その特徴として、肉体労働、誰でもできる仕事、同じことの繰り返し、とされている。
コロナ禍にも痛感したように、社会のインフラはほぼ底辺職業の人たちで支えられている。
ゴミを回収する人がいなかったら、物流がなかったら、お年寄りや子供の面倒を見る人がいなかったらたくさんの人たちの生活は成り立たない。
つくづくより良い人間であるためには想像力が必要だなあと思う。
でも人は当たり前にあるものに感謝を忘れていく。
底辺じゃない人が実利的にできることは少ないかもしれないけれど、敬意を払ったり配慮の気持ちで接したりはできると思う。
長く飲食業界にいるからよくわかる。
その気持ちは表情や言動に顕著にあらわれている。
底辺職業に就いてる人の中でも、やりがいや使命感を持って仕事をしている人がたくさんいる。
お給料の多寡で判断しないような、その仕事に携わることで得られる数値化できない充実感は何ものにも変えがたい。
反対にやりがいや使命感なく生きていくために働いている人もたくさんいるだろう。
だからと言って、誰でもできる仕事=無能、としてしまうのはよくない。
それは子供の頃に受けた教育や周りの環境にも大きく起因しているから。
個人の意志の範囲外で決められている運命というのは少なからず存在する。
いや、人生を選ぶ上で幼い頃の環境は大きく影響しているとさえ思う。
そこにはいつの時代もやりきれない仕方なさが横たわっているのだ。
いろんな職業を三角で表現してはいけない。
社会はバランスよく成り立っているのだから丸や円で表現してほしい。
底辺という言葉があることで底辺という意識が生まれるから。
飲食業界をはじめ、先に挙げた職業の特徴でもうひとつ忘れてはならないのが「人に優しい」だと思う。