
久しぶりに大量のお弁当の準備をしている。
やっぱり料理をちゃんと作ろうと思ったら時間がかかるなあと痛感している。
メニューを考えたり、買いものに行ったり、仕込みをしたり、包装のことを考えたり、その他こまごまとした計算があったり、という時間。
よく、好きじゃないとできないよね、と言われる仕事のうち、料理や飲食もまさにその部類に入ると思う。
割に合わない感じ、時給換算にするのが怖い感じ、なんだか人生を捧げている感じ。
一般のお客様がどれだけその内情を理解しているかわからないけど、経験がなかったり当事者でない限りやっぱり想像するのはむずかしいと思う。
だからと言ってそんな苦労をわかってほしいと思ってるわけでもない。
大変だからと表で発信するのも同情を誘っているようで違和感がある。
もちろん食の価値を正しく評価してほしいと切なる気持ちはあるけれど、文化というものは長い時間をかけた上に成り立っているものなので、そう簡単に食の価値が上がることはないだろう。
それでもみんな文句を言いながらも精一杯がんばっている。
人件費や材料費の高騰の煽りを受けているにも関わらず、上げてる値段は数百円のところが多いと思う。
お客様に負担をかけたくないという気持ちが最優先されている結果だ。
何よりも、相手に喜んでもらいたい、から生まれる動機は人として美しい行動に思える。
自己犠牲との境界は曖昧だけれど、いいバランスで経済と思いの両立ができるのは、自身の理想でもある。
時間がかかったとしても自分が納得いくものを作りたい。
クリエイティブの領域は人間の営みそのもののように思える。