料理は音楽と同じように組み合わせの量が果てしない。
どの食材とどの食材を合わすのか。
食材だけでなく調味料や調理方法のような因子も加わってくる。
もっと言えば料理をどのお皿に盛り付けるか、相手の食べるシーンも考えないといけない。
なにを選んで組み合わせるか。
それが料理のセンスを問われるところだろう。
中でも料理だけにフォーカスして、抽象化や構造化をしてすごくシンプルにすることがこの本の試みだった。
どの料理も究極は火を中心として空気、水、油、の4つのバランスでできていると言う。
たしかにどの国の料理も分解して考えていくとそれらの構成に行き着く。
ここの理解があると、料理のレパートリーを増やすのはそんなに難しいことではないと、今までの料理経験からも納得できる。
食材や調理法を何かに置き換えたり、少しずらすだけでも新しい料理ができたりする。
ただ何と何が合うか、相性はある程度知っておいた方がいいかもしれない。
メニューを考えるとき、偏屈な自分はあまりレシピの枠には捉われずに食材を入れ替えたり、転用したりして、結構な頻度で創作してしまう。
どちらかと言うと料理は結果的に美味しければいいと思っている。
それに工夫をすることはアイデンティティでありオリジナリティでもある。
お店をしていると特にお弁当なら食材を組み合わせること以外にも、全体の味付けのバランスや、形状の変化、配色などを考えたりする。
でもレパートリーは他の料理人に比べて少ない気がする。
長く料理をしていて思うのは、突き詰めると構造はシンプルであることがわかる。
それがわかってしまったら、あれこれと足していくよりも、何を足さないかを見つけることが大切だと思う。
それでもレパートリーを増やし変化をつけないと、お客様に飽きられてしまう心配があるのも、お店をしていて思うジレンマだ。