質のフェーズ

世の中は需要と供給の関係で成り立っている。

基本的に供給が多いと価値は下がる。

それで言うと飲食店の数が現状よりも少なかったなら、それ自体の価値も社会的地位も上がりそうだ。

でも実際は誰でも簡単に始めやすいので数が多い、いや多すぎる。

開業に厳しい審査のようなものがあって、作れる場所も限られているならもっと飲食店の価値は上がると思う。

人口増加や所得増加の時代ならたくさん作ればよかったけれど、日本は特に限界にきているし、いまだに成長を前提とした考え方をしている人はたくさんいるような気がする。

食の美味しさに関しては世界でもトップレベルなんだから、もっと量から質に転換しても良さそうなのに。

希少性が高まるだけでも価値は上がるはずなのに。

多くの人が機会損失を恐れてたくさん作りたくさん用意してたくさん売ろうとする。

その裏側には利益、拡大、成長といった欲深い人間の本能に根ざしているものがそうさせるのだろう。

だからといって本能のままでると、どこかで生まれた歪みが大きな損失となって表層化していく。

不祥事や偽装やブラックな環境というのは、往々にしてそのような結果の現れだと思えてならない。

理性で本能にブレーキをかけること、それも人間だけに与えられた特権なのだから、うまく使いこなすことを今求められているような気がする。

利益や成長を求めないというのはどうしても悲観的に捉えられてしまうけど、それを悲観的だと思ってしまうということはすでに資本主義というシステムに思い込まされている証拠だと思う。

それに量的な成長に重心がおかれている。

そうではなく質的な成長であれば考えようによってはまだまだ無限のフランティアではなかろうか。

日々の充足感やストレスのない環境、優しさや思いやりをふまえた質的な人間の成長にお金はそう多くかからない。

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