時の味わい

一人でうんうんと考えているより、

だれか人と話をしていて自分はこう考えていたんだと

発見することがたまにあったりする。

先日そんな中ではっと気づいたことが、

今やっていることは、その瞬間にしか味わえない

ものを大事にしているということだった。

そもそも料理とは基本的に瞬間を味わう芸術。

その時の温度や、空間や、環境で味わいは変わり

食べてしまえば消えてなくなる儚さがある。

パスタなんて茹でたてが一番美味しいに決まってるし、

イートインにすることでお店の中で交わす会話もまた

その時間だけでしか話せないものだ。

時々企画でしているテイクアウトも同じような

ニュアンスでやっていたのかと思うと、

イートインとテイクアウト、相反しているようで、

共通している部分があるなと再発見できた。

同じ一日がずっと続くわけではなく、毎日が違っていて

今日の積み重ねの先に未来があって過去がある。

人生は一度きり、いつ死んでも後悔しないように、なんて

言うけど現状の社会ではなかなか思い切って

人生を選択できるほどの勇気を持つこともむずかしい。

特に日本ではセーフティーネットが整っているのに、

周りの目の方が気になったりするから余計にむずかしい。

でもほんとに今しか味わえない時間を過ごすことは

大事だなあと思うし、強い自覚はなかったけど、

無意識のうちにそれを大事にしてたんだなあと思えた。

コロナウイルスで人に会いたくても会いづらい状況に

なったしまったように、これからはもっといつ何が

起こるかわからないほど地球も危うくなっている。

今しかできないことってとても価値のあること。

その価値を味わい、その時間を大切にしていきたい。

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