様々な創作物はなんでもそうだけど、
一度体験しただけでは、見えないことがたくさんある。
繰り返し体験することで次第にわかってくる
深みや、味わいや、奥行き。
魅惑的な嗜好品が溢れている現代社会においては、
いろんなサービスの可処分時間の奪い合いで、
なにか物事に浸る、没頭するという時間が、
なかなかとりづらくなってきているように感じる。
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食べると言う行為は日常生活に欠かせない。
一日のうちに必ずある食べると言う時間を、
楽しむことができたらとても効率がよく
有意義なことではないだろうか。
疎かになりがちな食べる時間を充実させることで、
心の豊かさを取り戻せるのではないだろうか。
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今はお店も情報も溢れていて、
一回食べに行って終わりということもしばしば。
回数を重ねてみてはじめてわかる醍醐味があるのに、
それを知らないで見過ごすのはとてももったいなと思う。
たしかな情報のわかる場所がほしい。
それを作るために今動いているけど、
表現って考えれば考えるほどにむずかしい。
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お客様に楽しんでもらいたいという情熱のあるお店は、
一概に言えないけど、自分で思いを持って立ち上げて
経営している小さなお店の方が多いように思います。
それぞれのお店に個性があるし、
自分と相性の合わないこともたまにあるけど、
誰に忖度するわけでもなく、
時間で労働しているわけでもなく、
お店を営んでいるその姿は、
曇りのない美しさが宿っているように思う。
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ひとつのお店としっかり向き合うには、
どうしても時間がかかってしまう。
お店とお客様の関係も同じで、
何度か通い、何度も食べて、時間をかけてこそ
深まっていく信頼性は、きっと人生を豊かにしてくれる。