レシピ本が徐々にお客様の手に行き渡り、
いただける反応に感激している。
早速作ってみたことを報告してくれたり、
こちらの意図していることがちゃんと伝わっていたり、
いろんな気づきや勇気を与えていることだったり。
料理を作って提供して食べてもらうのとは、
また違う何かの感謝の交換が行われていることに、
新しい発見があっておもしろい。
レシピというのは、秘伝のもの、内密にしておくもの
というイメージが強いけど、わりと気にしていなくて
たくさんの人に広まればいいと思っている。
再現性の高い美味しいが広まれば、それだけ遠くにも
届くし、世代をも超えて伝わっていく可能性がある。
ネットに溢れているようなレシピではなくて、
築いてきた関係性から生まれていることが重要で、
どんなお店にも、その人しか作れない料理の価値は
秘められているはず。
あらゆるものが便利になっていくからこそ、
その価値は深まっていくので、見方を変えてそこに
気づけることができれば、ある意味チャンスだなあと思う。
機能だけを求めるならば、資本力のあるところには
敵わないけど、人間である以上やっぱり感情の占める
割合は多く、どこまでいっても合理性だけでは通用しない
何か愛のようなものは誰しもに内在している。
レシピ本を機能の側面から見るのではなく、
信頼を深めるであったり、記憶が蘇る装置になったり、
伝わっていくものであったりと、そのやりとりから
派生する感情にこそ本質的な意味があると思えた。
あらためて料理も本も、どんなサービスも、
交換してるものは違えど、結局は人と人の関わりの中で
生まれる気持ちは、どんな時も大切にしないといけない。
