つづきのある会話

オープン当初からできるだけお客様のことを

認識できるように努めてきた。

顔、名前、特徴、背景、わかる範囲で。

不思議なことに何回も来てくれているのに、

覚えれない人や、一回だけで覚えれる人もいて、

記憶というのは不平等にできている。

飲食店は基本的に予約をしない限り、

お客様の名前はわからないから、

顔だけでは不十分で覚えづらかった。

完全予約制にしてからは、名前と顔が一致したので

認識力が高まり、食べる人を想像しやすくなった。

これはけっこう大事なことだと思っていて、

食べる相手を明確に認識することで、

料理を作る段階からの気持ちの込め方が、

無意識にせよ変わってくる。

誰が食べるかわからないと、どうしても

ぼんやりとした状態で作ることになる。

相手を認識できているかどうかは、

多少なりとも味を左右するものだと思っている。

今、お店はイートイン形式に変わって、

会話をする時間がプラスされたことによって、

受け取る情報が多くなり、より認識しやすくなった。

すべてのお客様と平等に接することはむずかしいけど、

今までテイクアウトの性質上、短時間で接していた人も、

会話を交わすことで、相手のことをさらによく知れる。

これはイートインの大きなメリットだと思えた。

お客様の興味を探り、可能な限り関心を寄せる。

会話のきっかけが増えることにより、

もし次にご来店の際に、自分のことを覚えてくれてた、

ということを提示しやすくなる。

人は誰しも好意を寄せられるとうれしいはず。

仕事だからとやらされてる感を出さずに、

快く迎えることが、お店をする上での心構えだと思う。

ご来店の際に、あれからどうなりましたか?

と個別に聞けるくらいの認識と質問力を磨かないと。

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