駅前や大型ショッピングモールなどには必然的に見慣れたお店ばかりが入ります。
運営側は当然収益を上げないといけないので、高い家賃を払える資本力のある会社に誘致するのが自然な流れです。
お店や会社側も集客を多く見込めるから、高い家賃を払ってでもそこに入ろうとします。
お客さんもたくさんお店があって便利で快適だからそういうところに集まります。
各場所で綺麗事のようなキャッチコピーを並べたて、コンセプトをアピールしようとしていますが、視座を上げて眺めるならどれも同じような力学がはたらいていると言っても過言ではないでしょう。
何においても規模が大きくなり、関わる人が多くなっていくほど合意形成が難しく、無難な意見に収束していくのは仕方がありません。
誰も悪くないですし、一人一人が違和感を持っていてもどうにもできないことが、ある意味で恐ろしさすら覚えます。
目的が成長や利益になっていること、資本主義というシステムは現代人にとって当たり前すぎる前提になっていると思います。
誰だっていい暮らしがしたいと願うし、安定がほしいと願うし、もっとお金がほしいと願います。
そんな一個人の意志を超えた総和が全体のシステムを動かしているわけです。
目的が成長や利益、そのための手段として人が使われていることに警鐘を鳴らしてくれています。
労働力としての人、意志を持たない人。
もっと人の愛が中心になるような経済があってもいいのでは。
そのきっかけとしてお店(カフェ)の存在を指摘していることにとても同意でした。
「作る」と「届ける」が一緒になった業態はそう多くありません。
そこには人が必ず介在しているし、お客さんと顔の見える関係を築けることが最大の強みです。
自分の問題意識と重なる部分が多く、希望を感じた良書でした。