いいものを使いたくなる

希少価値、数が少ないからといっていいものとは限らない

けど、質がいいものはやっぱりある程度価格が高い。

いいものを実際に体験してしまうと、もっとそれ以上とか

現状維持しようとする方向に力学がはたらくのが人間の性

質で、それ以下に落とすのがむずかしくなってくる。

化粧品とかファッションとか暮らしとかお金の使い方とか。

料理を食べる方は安くても美味しい食材はたくさんあるか

らそうは思わないけど、料理を作る方はもっといい食材を

使いたいという気持ちになる。

そこにはお客様にもっと美味しいと思ってもらいたいや、

もっと喜んでもらいたいの感情も含まれている。

単純に食材の値段が2倍高いからといって、美味しさが2

倍になるわけではないので、適正を見極める目利きはしな

いといけない。

足るを知って、自分の器量に合った料理を作る。

とはいえ世界の動向も相まって質の同じ食材でも価格だけ

上がっていく傾向にあるのが悩ましいところ。

食材の値動きに対してメニューの価格を変動させていたら

けっこう大変な作業になる。

いいものを使いたくなる上に、食材の価格の高騰が重なる。

現状のレベルを下げるのはお店の尊厳に関わることだし。

業界の価値が上がったり、技術に見合う価格になるのはい

いことだけど、いいものが使いづらくなったり、たくさん

の人が安いものをたくさん食べるようになって健康を害す

るようなことが増えるのも考えもの。

こんな小さな世界でさえ人間は欲深い生きものなんだなあ

と、あらためて認識した次第でした。

関連記事

  1. 繊細ゆえに

  2. だれもわるくない

  3. 料理人という仕事

  4. よく生きること

  5. 繊細さん

  6. 大学の学費は親が出すべきなのか

0
Would love your thoughts, please comment.x
()
x